こんにちは。Class of 2011のY.N.です。気がつけばもう11月下旬。ついこの前始まったばかりと思っていた今セメスター(Fall 2010)ですが、早くも1ヶ月ほどを残すのみという所まで来てしまいました。それに伴い履修している授業も内容が進んできましたので、今回はその中から「Power & Politics」という授業についてお話したいと思います。
Sternでは複数の教授が同タイトルで同様の内容の授業を開講していますが、私が履修しているのはProfessor Joe Mageeのクラス。同じNYUにあるWagner School of Public Serviceに所属する教授で、Sternも兼務で教鞭をとっています。Power and Politics、Wagner Schoolの教授と言っても、政治学の授業ではなく、もちろんビジネスに関係する授業です。
なぜPower and Politicsがビジネスにとって重要なのでしょうか。人間の集団である組織の内で何か行動を起こすとき、必ず他人との関わり合いがあります。そして、関わり合いは、行動をスムーズに進める推進力にも、滞らせる抵抗力にもなり得ます。その行動が目的としている事がポジティブなものであるかネガティブなものであるかに拘わらず、行動は何かしらの人的・組織的な反応を生み出します。言うまでもなく、ほとんどのビジネスにおいて、私たちは組織に身を置きます。そして、反応を生み出すのであれば推進力となるものにするに越したことはありませんし、もし抵抗力となることが避けられないのであればそれをなるべく小さな力とし、あるいはその抵抗力を克服することが必要になります。ビジネスにおいてPowerもPoliticsも避けて通ることが出来ないということは、皆さんも直感的に同じく考えられていることと思います。
では、Powerとは何なのでしょうか。「Powerは、Aによる影響が無ければBが実行しないであろう何かをBに実行させるためのAの能力である」と教授は説きます。そして、Politicsを「影響力を及ぼすための、もしくはより大きなPowerを得るためのPowerの行使」であると位置づけます。
Powerはいったいどのようにして生まれるのでしょうか。役職、肩書はPowerの源の一つでしょう。しかし、役職、肩書のみがPowerを絶対的な物として保証するわけではありません。ある組織において、人が役職、肩書以上の大きなPowerを有しているということもありえますし、逆もまた然りです(実際にそのようなケースを授業で取り上げます)。教授曰く、「(1)Bにとって重要なリソースについて、(2)Aが裁量権を有し、(3)BがそのリソースをA以外の他では手に入れることができない、という関係においてBがAに依存しているとき、BはAにPowerを認める」。その一例として、教授は就職活動を挙げます。
授業では様々なケースを通じ、Powerを如何に獲得し、如何に効果的にPoliticsを用い影響力を及ぼすかということを学びます。どのようなものがリソースとなりうるのか、ネットワークやアライアンスはどのような効果をもたらすのか、評判・実績・個人的属性はどのような影響をPower/Politicsに与えうるか、効果的なPowerの行使となる交渉はどのようなものか、Nonverbal expressionがコミュニケーションにおいてどの程度の影響力を有し曳いてはPower/Politicsに違いをもたらすのか。社会学、心理学、言語学等々、話題となる分野は多岐に渡ります。また、授業の中でミニ・ゲームを行い、授業で学んだセオリーが身近な場面でどのように現れるかを体験し、理解をより深めていく工夫もなされています。
当然ながら、ビジネスにおいてはハードスキルとともに、ソフトスキルも重要です。そして、そのソフトスキルも、組織内に存在する力関係、人間の行動の背景をより普遍的なものとして理解することにより、一層強力なものとなります。
Financeが特に注目されることが多いSternですが、このPower and Politicsのようなソフトな授業も様々提供されています。Financeの影に隠れてしまいがちですが、実はSternのプログラムがバランスの取れたものであることが伝われば幸いです。
<ご参考>
Professor Joe Magee
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