今日はMBA2年の元投資銀行マンY.Yさんからのパートタイム・インターンの記事が届いています。NYU Sternのひとつの特徴はNYという土地柄、パートタイムでのインターンがしやすいということがあります。日本人留学生にとってはMBA生活の中で特に貴重な経験になるといえるでしょう。
今日はパートタイムのインターンについてご紹介いたします。MBAのインターンというと、1年目と2年目の間の夏休みに行うもの(フルタイム・インターン)が一般的ですが、パートタイムのインターンとは、学期中に行うものです。NYU Sternの場合、平日でも金曜日には授業がありませんし、一年生の春学期以降は殆どが選択科目になるため、学校に行く日を週2、3日に収め、残りをパートタイムに充てることが、理論上可能です(“理論上”と申し上げた理由は、実際にやってみると、朝から晩までビッチリ授業を受けるのはかなり大変)。但し、日本人の場合、労働VISAの関係で、パートタイムとして“給料を得ながら”働くのは、一年生のうちは不可能です。
さて、現在、私は、ニューヨーク州のお隣、コネチカット州にあるヘッジファンドにてパートタイムのインターンをしています。バイサイド・アナリストという職種で、日本株のリサーチを担当しています。仕事の内容を簡単にご紹介いたしますと、まず、過去の公開情報や電話取材で得た情報を元に将来の予想Income Statement、Balance Sheet及びCash Flow Statementを作成します(モデリングと呼ばれています)。モデリングの際、AccountingやFinanceの知識を駆使するほか、分析対象企業のマーケティングやストラテジーについても理解・分析し、定性的な情報を含め将来の予想数値に落としこんでいきます。NYU Sternで学んでいることの応用です。そして、モデリングによって割安・割高な銘柄を特定し、1ヶ月に一度のペースで、ファンドマネジャーや他のアナリストに対して1時間ほどのプレゼン及び質疑応答を行います。私のファンドでは、日本人は私だけなので、社内のやりとりは全て英語です。
ファンドの詳細については、守秘義務の関係で記載できませんが、私がここで申し上げたいのは、NYU Sternでは、こういったパートタイムでインターンをする機会が他校に比べれば圧倒的に多いという点です。クラスメートの中には、パートタイムのインターンをやっている者が他にも大勢います。ちなみに、正確な統計は手元にありませんが、全米の半数以上のヘッジファンドがマンハッタン及びコネチカットに集積していると言われています。また、ヘッジファンドやプライベートエクイティといった業態は、一般的に小さな所帯であり、所謂ベンチャー的な企業です。そのため、大手企業と異なり就業形態が比較的柔軟な会社が多く、私のファンドのようにパートタイムのインターンを受けて入れている会社が比較的多いと思われます。もちろん、パートタイム・インターンの就業機会を得るのは、NYU SternのMBA学生と言えども、特に金融・経済状況が著しく悪い昨今では、決して容易ではありません。また、中小企業ゆえに、大々的なリクルーティングを行っている企業は少ないのが実情です。そうした中、パートタイム・インターンを職を得るのに重要なのは情報力とネットワーク。私の場合、今の仕事を探す際には、NYU Sternの就職課(Office of Career Development)やクラスメートの情報が頼りになりました。
現在、私は週2日のペースで働いており、学校との両立はなかなか大変です。どうしても、学校のイベントが(時に授業も)犠牲になることがあります。また、バイサイド・アナリストの業務は私にとって初めての経験である上、金融マーケットの混乱もあり、決して仕事が順調という訳ではありません。しかし、キャンパスで学んでいることをリアルタイムで実践できる、且つ、100年に一度と言われている昨今の金融危機を、教室やメディアを通じて情報を得るだけでなく、肌身を持って体感できる機会はNYU Sternならでは。非常に貴重な経験をしていると思います。インターンは、卒業後の就職先を探す、或いは就職とダイレクトに関係なくても、アメリカで職業経験を積む貴重な機会です(私は、卒業後は日本の別の会社に就職予定)。社費留学生の場合、会社との関係でインターンが難しいケースがありますが、これから留学される方には、NYU SternのネットワークやロケーションといったAdvantageを生かして、一つでも多くのインターンを経験されることをお勧めいたします。
(Y.Y. Class of 2009)
[写真:会社近くの風景]
会社のあるコネチカット州グリニッチはマンハッタンまで電車で一時間ほどの郊外の住宅街。マンハッタンとは全く異なる風景です。