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小川 淑夫さんに聞く
stern2000-10-21 (3371)

<デザインと環境と経営> "目に見える環境対応"の実践
ソニー株式会社 クリエイティブセンター チーフアートディレクター

ソニーの小川さんはプロダクト関係のチーフアートディレクターですが、その領域を超越し、エコデザイナー、エコプロデューサーとして、ソニー全体に亘る、コーポレートレベルのコンセプチュアルな環境ビジネスモデルを提案し、実現されました。再生資源としてあまり活用されていない、雑誌古紙を100%使用した紙と、VOCゼロ植物油型インキをメーカーと共同開発、社用封筒や包装材などに採用され、デザインとしてもレベルの高いものに仕上げられています。これらの環境対応は社会的にも高く評 価され色々な賞もお取りになっているようです。
小川さんに行きつけの銀座の画廊でインタビューをしました。

Q、この様なことをお始めになった動機は何なのでしょうか。

数年前、ヨーロッパ出張のついでに、環境やEco-designについても調べてみようと、大学、研究機関やデザイン事務所などを訪ねる機会がありました。改めてSustainable societyのためには経済活動としてもSustainable development抜きでは人類が生き延びてゆけないこと、そのためには人々が民族や国境を越えて、地球上に住まわせてもらっている地球市民としてどう地球と共生してゆくべきかを考えなければいけないことを実感させられました。また、環境問題解決には使う側の意識改革が大変有効だということをがわかり、つまり、使う側がそんな環境にhigh impactなものは要らないと主張すれば、世の中を動かすことができるということです。私はデザイナーですのでので、何かデザインとして一般の人々にもわかりやすい、"目に見える環境対応"を通して環境啓蒙のお手伝いができないかと考えていたのですが、ある日、郵便物を出す機会があり、従来の社用封筒を手にすると、白い上質紙を使用し透け防止の裏印刷が施していました、当社のように半分ハードを作っている企業のものとしては過剰品質ではないのかと疑問を持ったのがきっかけです。

Q、と言うことはどういうことなのでしょうか

ラブレターはずっと保存していますよね、中には隠し持ってたりする人がいますが、しかし社用封筒や包装材は届けられたらすぐに捨てられてしまう一過性の機能ですよね。ですから結婚式場のものならならともかく、当社のような性格の企業のものとしては過剰品質ではないのか、むしろ、環境保全の見地からも、低再生資源の雑誌古紙を積極的に活用し、資源の循環と環境負荷を低減させるばかりでなく、社用封筒や包装材はただで直接顧客に届けられ、"目に見える環境対応" として企業の環境姿勢を示すことができると同時に環境啓蒙媒体の役割を果たします。これらを通して10人のうち1人でも環境に関心を持っていただけ環境啓蒙のお手伝いができれ、巡りめぐって企業の環境イメージの向上つながる。また、従来の美しいだけのCIから、社用封筒や包装材を通して新しい環境配慮されたGreen CIが構築できる、これはマネージメントとしてみても面白い、Green promotion, Green PublicityばかりでなくGreen Managementの観点からも意義があると提案したものです。
この視点がなければ、これは私の領分ではなく、グラッフィックデザイナーかパッケージデザイナーの仕事なので手を出さなかったなかったことでしょう。一見これはデザインの仕事ではないと思われる方がいらっしゃると思いますが、デザインとはそもそも、美しいだけのもの、ちょっと風変わりなものを作ることではなく、そのものの固有の質とそれに相応しい"姿"を創造することなのです。ですから、ソニーのような企業の社用封筒や包装材の質はどうあるべきかを再考するのも、これもデザインの仕事なのだと思っています。個人的には、今までの罪滅ぼしの意味もあるのでしょうか、地球に対する義務感のような思いが起きて、何かひとつ環境に関する提案を、企業人としてまた一地球人として実現してみたかったということも理由のひとつでしょう。

Q、実際これらを社内で実施するには大変ではなかったかと思うのですが、どのように推進されたのですか。

これは結局どの部署がやってもよいものだと思います。本来は環境部門がやっても全然おかしくありませんし。また、社用封筒は総務部や購買部の扱いです。包装材に関しては包装設計部門やパッケージデザイナーが該当するのでしょうが、当社では社用封筒はCIマターなので、トップの承認が必要ですし、関係部署が多岐に渡っていて面倒くさいのでしょう。
たまたま、ある企業が開催している"エコロジーペパー展"に行ったことがあり、雑誌古紙で社用封筒を作りたいと問い合わせたのですが、そんな紙ありませんというご返事でした。それなら一緒に作りませんかと開発を始め、目処が立ったので関係部門に声をかけ、社内横断のバーチャルプロジェクトとして推進しました。勿論、トップの賛同は頂けたので、トップダウンでもできたのですが、草の根運動として始めました。

Q、小川さんは環境提案は誰でもできる、かえって素人の方ができるとおっしゃっていますが。

メーカーの方がおっしゃるには、我々では雑誌古紙100%で紙を作るなど思ってもいなかったとおっしゃっています。また、この再生紙は一般の殆どの再生紙が施している、脱墨(インキの除去)、漂白、(着色)をしていません。これも常識破りだそうです。これには我々のしっかりしたコンセプトがあったからだと思います。まず、そのものにはそのものの固有の質があるということから、雑誌古紙の再生紙にはそれなりのアピアランスを作ってあげようと言う思いと、再生に関してもべく環境負荷を低減したLess Process Recyclingの思想がありました、その結果ライトグレーのシックな風合いが生まれました。インキについても同様で、環境に優しいとうたっている、ソイシールインキ(大豆油インキ)について調べたところ、我が国で使用されている大豆油インキは溶剤中依然として鉱物油を半分程度含有していることがわかりました。それをちょっとばかり従来より大豆油の含有量をを増やしたからと言って、地球に優しいなどはおかしいのではないかと言うことで、VOC(揮発性有機化合物)を全く含まないインキを開発していただきした。つまり、全くこの分野に関係ない素人だからこそ既成概念にとらわれず発想できたのだ思っています。私はこれを"素人力"と呼んでいます。ですから皆さんもきっと何かできるはずです。

Q、環境ビジネスは難しいと言われていますが、どのようなご意見をお持ちですか。

実際これらを開発するにあたり、ヒヤリングしたメーカーの中には当社ではできないと言われたところもありました。我々の提案に対し賛同され共同開発していただいたところでは、エコビジネスとしてちゃんと成立していることが大変嬉しいですし、頑張ったものが報われ、創業者利益を享受していただきたいと思っております。このインプリメンテーションは共同開発企業さんのご協力なくしては実現はありませんでした、メンバー一同本当に感謝しております。
また、企業の環境対応においても、マーケティングのセンスやクリエイティブな発想が求められているのではないのでしょうか。

Q、この活動は外部でも評価され、色々な賞も受賞されているようですが。

今年の5月には、包装材の環境対応が評価され(封筒も包装材)、JPI(日本包装技術協会)主催、第24回木下賞(研究開発部門)を受賞。また最近では、(財)日本産業デザイン振興会主催のGood Design Award 2000の新領域部門にて"Green Envelope & Green Packaging"がグッドデザイン賞を受賞しました。


インタビューアー:94川村喜久
2000年10月20日(金) 銀座 風童門 にて

インタビュアーを終えて:
環境対応を個人として企業人として、また、デザイン、ビジネスとして、いかに両立させることができるかの好例をお聞きする事ができました。
我々も、明日の子供達のため、美しい地球のために何かアクションを起こしたいものです。
ありがとうございました。


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