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【インタビュー】三浦良造教授に聞く
stern2003-01-12 (5283)

一橋大学大学院国際企業戦略研究科

今回は前回インタビューした、スターンスクール・ダモダラン教授の著著“Applied Corporate Finance” を翻訳された三浦良造・一橋大学大学院国際企業戦略研究科(http://www.ics.hit-u.ac.jp/jp/)教授の登場です。三浦教授は国際企業戦略研究科・金融戦略コースの立ち上げを行われたほか、日本金融・証券計量・工学学会(Japanese Association of Financial Econometrics and Engineering.http://www.jafee.gr.jp/)の会長でもあり、日本の金融工学を引っ張っておられます。今回は翻訳のきっかけや本の特色に加え、金融戦略コースや日本の金融工学についてもお聞きしました。

Q、“Applied Corporate Finance”を知ったきっかけは何だったんですか?

NYU・スターンスクールのアルトマン教授の紹介です。アルトマン教授とは以前から親しくしており、これまでにもスターンスクールは何度も訪ねています。自分の研究という目的もありますが、スターンスクールを2000年に立ち上げた一橋大学・国際企業戦略研究科・金融戦略コースのモデルにしたかったからです。立地条件が非常に似ていますからね。3年前の1999年1月にアルトマン教授を訪ねたときに、「いい本があるよ」と、“Applied Corporate Finance”を1日貸してくれたのが、本書と出会ったきっかけです。

Q、読まれたときの第一印象はいかがでした?

「これはいい」と思って、金融戦略コース(一橋大学大学院国際企業戦略研究科)の教科書に使おうとすぐに思いました。ここまで理論と実践を組み合わせた本は珍しいですからね。その作業は面倒ですし、他人に使われるのを嫌がって、普通はやらないです。正直言って、この本の著者は「気前がいい」と思いました。

Q、ダモダラン教授には会われたんですか?

ええ、翌日アルトマン教授が連絡を取ってくれて、すぐに会うことができました。実際に会って話してみて、私の話していることをよく理解し、彼の話も非常に明解でした。「この人はキチンと教えられる人」だと分かりました。そして、何よりも印象的だったのは、私のある質問に対する答えでした。
私は彼に、「日本には古い商慣習がまだ残っている。日本企業の経営者にこの本で書いてあることはなかなか理解されないと思うが、あなたならどのように教えるだろうか?」と聞きました。これに対して彼は、「あなたの企業はなぜ存在しているのでしょうか」という質問から始めるでしょう、と言ったんです。これを聞いて「この人は本物だ」と感じました。著書も気に入っていましたが、あってみて、本人も気に入りました。最初は翻訳するつもりはなかったんですが、偶然、帰国1ヶ月後に、知人から翻訳の話が舞い込み、翻訳することになりました。

Q、実際に授業で使われたり、翻訳されてみていかがでしたか?

先ほど、「理論と実践を組み合わせた本」という表現をしましたが、この本の特徴はコーポレートファイナンスを単なる理論としてではなく、使えるものにしていることです。そして、それを可能にしているのは、“計測”です。理論が多くの事例によって数値レベルに落とされているからなんです。もちろん、その結果、セオリーとして弱点があることは否定できませんが、それでも、ちゃんと一定の水準は満たしています。とても分かりやすく書かれていますが、単にやさしく書いたのではなく、踏み込むべきところは踏み込んで理論を展開しているんですね。いわゆる「大人」が読める水準でかかれています。

Q、日本の企業において、コーポレートファイナンスや金融工学の分野はどこまで取り入れられていますか?

「まだない」というのが正確なところでしょう。いくつかの会社が取り入れようとしている段階だと思います。経営者の頭にはまだありません。これから、時価会計、直接資金調達が増えていくなかで、重要性は高まってくるのは確実です。例えば企業財務のコントロールにデリバティブがどこに使えるかが分かれば、実際に使う会社も出てくるでしょう。
そもそも、日本には計量的な方法で財務を教えられる人はほとんどいません。今、そういう人材を、われわれの国際企業戦略研究科で養成しているところです。

Q、一橋大学大学院国際企業戦略研究科・金融戦略コースは大変な人気だそうですね。

おかげさまで、定員の4?5倍の願書がきている状況です。1年めは私費でくる学生が多かったんですが、2年目からは会社の人事の了承を得てきている学生もでてきています。確かな手ごたえを感じています。ダモダラン教授のこの本を使って、社内で勉強会をやりたいから協力してほしいという話もきています。こういう話にもできるだけ協力していきたいと思っています。というのも、こうした勉強会の結果が、さらに授業の材料となっていくからです。私は、現場の人々と接する機会はとても大事だと考えています。企業の現場の人が持つ疑問から逃げずに、正面から受け止めて答えていく中で、新しいものが生まれてくるからです。

Q、これから金融戦略コースをどのようにしていこうとお考えですか?

4つの柱を考えています。コーポレートファイナンス、金融市場の計量分析、リスクマネジメント、そしてデリバティブです。最後に挙げたデリバティブは、私を含め、自分たちの自前でできますが、その他の三つはコーポレートファイナンスのダモダラン教授の本をはじめ、翻訳して補っていかなければなりません。今、さらにあと二つの分野での教科書の翻訳を進めているところです。
とにかく、「質のいいことはどんどんやろう」といっています。企業に対しても、本当の問題を指摘し、指摘された問題が分かる人を育てていきます。そして、さらに経営者層にも分かるようにしていきたいと思います。そして最後には、企業が実際に強くなる結果を生み出していくことですね。

今日はどうもありがとうございました。


東京・竹橋そばにある一橋大学大学院国際企業戦略科でインタビューを行いました。教官室や教室は、大変きれいで静かなインテリジェントビルである学術総合センターの5階?9階部分にあります。街の中にあり、思わずスターンスクールを思い出しました。本文にはすべて載せられませんでしたが、金融戦略コースのビジョンや金融工学の実務への展開など、1時間にわたって熱く語っていただき、スターンスクールと相通じる新しいものを感じました。ダモダラン教授の来日講演をはじめ、いろいろな形でスターンスクールとさらなる交流の可能性を探っていきたいと思います。


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