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【インタビュー】西田 徹さんに聞く
stern2002-01-12 (5950)

株式会社カレン取締役

今回は昨年11月に日経BP社より「Eメールマーケティングで売上げを100倍に伸ばす方法」を出版された、スターン1993卒業の西田徹・株式会社カレン取締役にインタビューした。カレンはEメールマーケティングに特化し、その統合サービスを行うベンチャー企業である。西田氏はスターンを卒業後、ボストンコンサルティングを経て、2000年に株式会社カレンに入社。著書(山内善行・株式会社カレン社長との共著)はEメールマーケティングに関する日本初の包括的な理論書であり、実務書である。


Q、西田さんはボストンコンサルティングを96年に退職されておられますが、カレンには2000年1月に入社とあります。この間の4年間は何をされていたんですか?

実はどこにも就職していません。辞めた後は、フリーのコンサルタントやいろいろなことをしていました。コンサルティング会社はずっといるところではないと感じたので、ほぼ1人前になったところで辞めました。自分を鍛えるところとしてはいいところですが。。。カレンの山内社長とは、フリーになり始めたばかりの 96年に出会っているんです。

Q、山内社長との出会いのきっかけはなんだったんですか?

彼はすでに(株)カレンを経営していたんですが、そのころ、アップルコンピューターが保有していた1万人ほどのEメールアドレスの活用するプロジェクトがあり、共同でプロジェクトチームを組んだのがきっかけです。

Q、すでに5年前からEメールマーケティングに取り組まれていたんですね。

これは日本での最初の取り組みだと思います。当時、1万ものEメールアドレスを持った会社は日本にはなかったでしょうから。今ならすごい先進的な取り組みだと思いますが、その当時はあまり意識していませんでした。それよりも、山内社長に感銘を受けて、いつかまた仕事をしたいなあ、と思ったのを覚えています。

Q、そして2000年1月にカレンに入社されたわけですが、この1年半はネットバブル、そして崩壊の真っ只中ですよね。

まさに“ドッグイヤー”だった、というのが実感です。ネットバブル崩壊前に5億円調達する予定だったのが、ちょうど崩壊にぶちあたり、4億円分が逃げてしまいました。なんとか、博報堂・住友商事の協力を受けてしのぐことができましたが。。。
ただ、事業のほうは順調に伸びており、他のネット企業が沈没しているなかで相対的に上がってきています。来年度中には株式公開を行う予定です。

Q、企業のEメールマーケティングに対する取り組みは衰えていないんですね。

衰えるというより、今年に入ってから本格化してきたばかりです。これまではインターネットといっても、自社ホームページ作成やバナー広告が中心でしたからね。しかし、成長速度は目覚しいものがあります。昨年までは、大企業であってもEメールアドレスを1000件ほどしか持っていないところはざらでした。ところが、いまでは、数十万件のレベルになってきています。キリンはFireのキャンペーンの際、Webページ上のゲームを活用することによって、数百万件のEメールアドレスを獲得したほどです。このようにいわゆるドットコム企業だけでなく、既存の企業が本気で取り組み始めています。

Q、Eメールアドレスを蓄積するだけでなく、活用も実際に行われていますか?

すでに実験から本業の段階に入ってきています。企業の窓口も、以前のインターネット準備室といったものから、現在は販売促進部といった実際の業務を行っている部署が担当し、郵便DMと同様にEメールによるDMを行いはじめています。そして今後は、郵便DMをさらに超えた役割を果たすことが十分考えられます。 Eメールは郵便によるDMではできなかったことを可能にする、まったく新しいツールだからです。まだまだこれからの分野であり、成長可能性は大です。E メールマーケティングの特徴は3つのキーワードで表せます。そのキーワードとは、継続・双方向・ワントゥーワンの3つです。

Q、それぞれについて簡単に説明してもらえますか?

「継続」とは単発ではなく3通が1セットになったDMを打ったり、メールマガジンのように定期的にメッセージを送ったりできる点です。郵便にくらべて、数十分の一で送ることができるコストの安さによって、どの企業でもこれを実現することが可能になりました。
また「双方向」とは簡単に返事ができるEメールの大きな特徴を生かした点です。Eメールがそもそも行ったり来たりする性質のものであることから考えると、 Eメールマーケティングにおいて双方向を使っていくのは自然の流れ。さらにクリックカウント機能を使うことによって、ホームページをからめた双方向も実現可能になっています。
3つめの「ワントゥーワン」というコンセプトは、日本でも一般的に知られていますね。しかし、実現するのは大変難しかったのが現状です。ようやく、Eメールの特徴である「簡単に違うものを送ることができる」特徴を生かすことによって、実現可能になったわけです。

Q、Eメールの特性を生かしたマーケティングというのはまだまだこれからなんですね。

そうです。新しい動きを少し紹介すると、「継続」と「双方向」を組み合わせた継続性分析があります。これは、Eメールを継続的に何通か送り、それらに対する反応パターンを分析するものです。3通であれば、単純に返答してきたかどうかを調べるだけでも、2の3乗、すなわち8通りのパターンに分類できます。単発のDMの反応を分析にするのに比べて、飛躍的に詳細な分析が可能になるのがお分かりになるでしょう。
「双方向」という点に限れば、アメリカではすでに一般的なHTMLメールが日本でも普及してくると、さらに双方向性が高まり、いろいろな活用が行われることが考えられます。たとえば、Eメール上でクリックだけで質問への回答が可能になり、アンケート調査がさらに簡単になります。
また、「ワントゥーワン」では、今はやたらにパターンを増やすことを自慢する自己満足型が増えているのが現状ですが、本当に顧客一人一人の欲求を満足させる「ワントゥーワン」に向いていくと思います。

Q、「顧客一人一人の欲求を満足されるワントゥーワン」とは具体的にどんなものですか?

一つ考えられるのは、これまで主流だった性別・年齢などのデモグラフィックデータによるワントゥーワンに代わって、購買行動に基づいたワントゥーワンが出てきることが考えられます。たとえば、スーツを購入した顧客に、1ヶ月後に「スーツのお手入れ」をテーマにしたEメールを送るといったことなどが行われ始めています。
ただ、そうは言ってもこの購買行動に基づいたワントゥーワンはまだ、あまり行われていません。なぜかというと、購買データを管理する部署と、Eメールによるマーケティングを行う部署が違うためです。部門間でのデータのやり取りはとても困難なため、実際にはまだ多くの企業ではこの購買行動に基づいたワントゥーワンはまれです。

Q、Eメールマーケティングは部門間の壁をぶちぬくだけのパワーがあるんでしょうか?

E メールマーケティングは大量の顧客と、直接、しかもほぼリアルタイムで結びつくことを可能にします。このことは企業の部門間の壁を取り除く大きな可能性があります。また、同時に、店舗など従来の顧客接点との関係をどうしていくのかを明確にしないと、本部と店舗の間のギャップが現れてくることがあります。先日もある大企業で、店舗でEメールアドレスの獲得をすることを試みたにもかかわらず、集まったのがたったの3件であったという事例もあります。

Q、Eメールマーケティングに対する企業の取り組み姿勢はどうですか?

現状を見てみると、1割は本気で取り組んでいるという感じを受けています。これはメールマガジンを見ればすぐわかります。今は主な企業の5割くらいが何らかのカタチでメールマガジンを出していると思います。ただ、よく見てみると、その多くはただ情報を垂れ流しているだけというのが多い。これでは、顧客も引きつけられません。
その点、大変参考になるのは、個人の店長が書いているメールマガジンです。そういったメールマガジンでは、「私は誰です」と最初に名乗るのが普通。さらに個人的なエピソードを添えています。Eメールが私信から始まったことを考えれば、これはもっともな話です。大企業といえども、これから学ぶべきであるし、しかも可能です。まだ一部ですが大企業でも担当者が個人名を出してEメールを出すケースが出てきています。

Q、そのほかEメールを出すうえでの注意すべきポイントは?

E メールで忘れがちなのが、メール配信の解除の気遣いです。とにかく顧客が簡単に解除しやすくすることがポイント。具体的にはできるだけ見やすいところ、たとえば目次前後に乗せることが必要です。読者の利便性を考えることで、読者も好感を持ってくれます。だが、実際よく見られるのは依然として逆のパターンです。配信解除を文末に持ってきたり、中には何も書いていない企業もあります。
ほかにも、Eメールは消費者に直接触れるので、いろいろなことが起きます。これを学んで身につけるのに何よりもいい方法は、自分でメールマガジンを出すこと。ぜひ、「まぐまぐ」などのメールマガジンサイトで自分でメールマガジンを登録して、読者の反応をみてください。いい意味でも悪い意味でも波風が立ち、 PDCA(Plan−Do−See−Action)の繰り返しで知識が蓄積できます。

Q、さらに詳しくEメールマーケティングを知るには?

前著はもちろんですが、7月中旬から下旬にかけて続編として中経出版から実務編を出版する予定です。この本では事例を中心に解説しています。楽天の全面協力を得たほか、ツタヤオンライン、ワイナリ和泉屋、東芝EMIなどなじみのある会社の事例を紹介しています。ぜひ、Eメールマーケティングを零細企業・中小企業も含めたいろんな人に使ってもらいたいと思っています。

Q、西田さんご自身の今後のプランは?

「カレンは3年ほど手伝って、次に。。」と思っていましたが、今はこれからさらに3年ほどやってみようと思っています。やっと今、企業がEメールマーケティングに興味を持ち始めたところ。しかも、カレンはこのEメールマーケティング市場のリーディング企業であり、当分面白くなりそうですからね。また、最近、「組織に力がついてきたなあ」と思うことが多く、組織づくりにも興味を持っているからです。
次にやりたいことは、長年の夢である自己啓発の本を書くこと。今、サザビーが運営しているwww.midroom.comにそれに関連したエッセーを連載しています。今、取り組んでいるテーマは「超一流」です。イチローなど「超一流」といわれる人とそれ以外の人を分けるものは何なのか? 私は能力だけでなく、別の何かがあり、それを我々のような普通の人も活用できるという仮説を持っています。詳しくはwww.midroom.comをごらんください。

Q、今日はどうもありがとうございました。


アメリカでも、Web広告に代わって注目されているEメールマーケティング。日米両国でベストセラーになった「パーミッション・マーケティング」(セス・ゴーディン著)はEメールマーケティングなしでは語れない。日本でもEメールを使用する人は携帯メールの普及とあいまって急速に増えている。さらに日本はメールマガジンがアメリカよりも普及しており、Eメールマーケティングの将来性はきわめて高い。


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