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横川 潤さんに聞く
stern2001-05-12 (6112)

文教大学国際学部専任講師、日本大学経済学部講師、女子栄養大学栄養学部講師などを兼任。

Q、横川先生の専門・研究分野とは?

日本の大学院とNYUでマーケティングを専攻し、同じ大学院を卒業した研究者仲間とマーケティングの勉強会を頻繁に行っていますので、既存の学問体系でいえばマーケティングなのですが、このところ、日本フードサービス学会を活動の本拠地として、フードサービスのマーケティングを主たる研究分野としています。「フードサービス辞典」(共編著・柴田書店)などの研究書を上梓しました。また研究活動ではありませんが、食べ歩きを趣味として、女性誌『FRaU』(講談社)で「恋のつくれるレストラン」という連載を執筆しています。またイタリア料理店に関する食べ歩きの成果は、「東京イタリアン誘惑50店」(講談社)などの本にまとめました。業界誌では『月刊食堂』(柴田書店)で、「横川潤のビジネス何でもウオッチTHIS!」を連載しています。

Q、外食産業から見た日本人の消費行動とはどんなものですか?

ファストフードとファミレスの領域で、特に低価格志向が顕著になっています。これは十年くらい前からアメリカでも顕著になった傾向で、アメリカの後追いをしているように見受けられます。客単価の高い、いわゆるハイエンドのレストランでは、ニューヨークなどと比較すると、顧客の年齢層の低いことが特徴と言えます。これはレストランガイド「ザガット」における投票者の年齢分布などに現れています。高年齢層の顧客には、日本料理店、寿司店、天ぷら店など、いわゆる和食の人気が高いといえます。またアメリカでは高年齢層が、旺盛な外食意欲を有し、顧客として高客単価のレストランを支えているのに対し、特に男性は三十代後半から、いわゆる食べ歩きを止めてしまう傾向があります。こうした傾向は容易には変わらないでしょう。

Q、日米欧でフードビジネス経営の違いなどはありますか?

米国フードサービスの大手企業には、MBA取得者も多く、理詰めでシステマティックな経営をしているところが少なくないです。それに対して、ヨーロッパでは伝統ある食文化が企業展開を行う上では足かせになっているように見受けられます。日本はアメリカ寄りといえますが、コンテンポラリーな経営という意味では、アメリカの後塵を拝する現状にあります。

Q、外食産業の業態変化はどのように起こっているのですか?

今、いわゆる「外食」でも、家庭で料理を作る「内食」でもない、「中食」が注目を集めています。すなわち、お弁当やお総菜などのテイクアウトや、ピザやお寿司などのデリバリーのことですが、そこで一番強い企業はセブンイレブンです。この中食市場をめぐり、業種業態を問わず、弁当や総菜、インターネットなどを導入した宅配形態などの開発が進められています。

Q、情報化による事業環境への影響はありますか?

BtoBでは、すでにインターネットによる食材・製品納入の入札制度が普及しつつあります。BtoCでは、インターネットを使った宅配制度が注目を集めています。基本的には労働集約的色彩の濃い、ハイタッチな産業ですが、ITの導入によって、より効率的かつ効果的な経営が可能になると思っています。

Q、今後伸びるフードサービスとはどんなものでしょうか?

お手頃で簡便なフードサービスと、雰囲気など食べる喜びを演出するフードサービスの二極分化が進むと思われます。すなわち、徹底的にシステム化を進め、低価格と利便性を実現させる企業、および味・雰囲気・サービスのトータルな質的向上を実現させる企業が伸びると考えます。

Q、手軽な外食が食文化や健康を損なっているという批判に対してはどうお考えになりますか?

国民の健康をあずかる業界として、健康を害する料理を提供しないことは大前提と考えます。同時に、消費者もTPOに応じてフードサービスを使い分ける賢さを持つべきと思います。世の中が健康に偏重したレストランばかりでは、それはそれで面白みがないと思うのです。ただし、無農薬、有機野菜などの取り組みは、一企業では当然に限界がありますから、行政と業界が連携して進めるべき問題と考えます。食文化については、いちがいに衰退しているとはいえないと思います。たとえば、今から30年前、我が国ではフランス料理やイタリア料理を提供する本格的レストランなど皆無に等しかったのですから。

Q、最後によいレストランを見分けるコツ、お薦めのお店を教えて下さい。

イタリア料理店でしたら、拙書「東京イタリアン誘惑50店」(講談社)をぜひご覧下さい。東京のレストラン約200店をまわり、その中から50店を厳選し、三つ星ならぬスリートマトと100点満点を併記して、ランキングしました。一位は銀座『エノテーカ・ピンキオーリ』ですが、近々、資生堂本社内に超高級イタリアンがオープンします。これは今年最大の話題を呼ぶはずです。グルメぴあからも近々、座談会形式で東京のレストランを辛口批評した本を出します。ご笑覧下さいませ。またインターネット上では、料理評論家・山本益博氏との辛口グルメ対談の連載をスタートさせます。「マスヒロのテレスコ」というHPです。
NYに在住した者として、急に本場のベーグルを食べたくなることがあります。そのときは、スターンの卒業生でもある、川村竜司さんが経営しておられる「トライベッカ・グリル」へ足を運びます。ご満足されること、請け合いです。


インタビューアー:94川村喜久
横川先生ご推奨、青山にあるフレンチレストラン、ランス柳館にて

インタビュアーを終えて:
30兆円あると言われる外食産業ですが、依然、産業や学問領域としての地位は低く、レストランビジネスなどをアカデミックに確立されようとしている横川先生の地道な研究活動は多くの業界関係者を勇気付けるものとして高く評価されるべきであると感じました。先生、是非とも頑張って下さいね。陰ながら応援しております。


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