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マーケットは語る(三駄寛之の独り言) 4.今年の株式市場
stern2001-01-01 (5695)

三駄寛之
大和証券SBキャピタルマーケッツ(株)
金融商品開発部
セールスエンジニアリング課
次長

金融市場は市場参加者の将来への見通し、期待が反映されますから、世の中の新たな流れを先取りしていろいろな動きが起こります。
過去10年間、日本の金融市場はバブル崩壊の負の遺産をしょって低迷を続けてきましたが、ここにきて新たな胎動を感じさせる動きも出てきております。金融市場に携わる者として、金融市場や私の回りで起きている出来事からそんな日本の社会、経済や企業経営への新しい動きを紹介できたらと思っています。

今年の株式市場

昨年は証券関係者にとっては辛い一年であった。年初に18,000円台であった日経平均株価は結局13,785.69円と年末株価としてはバブル崩壊後の最安値となってしまった。
昨年の株式市場の動きの大きな特徴はIT関連銘柄や高成長銘柄の下落である。
昨年1年間の下落率上位には100分の1以下に株価が下がった光通信をはじめCSK、トランス・コスモス、ソフトバンク等のIT関連株が軒並み顔を出している。また、高収益を誇っている化粧品のファンケル、無印良品の良品計画、介護ベッドのパラマウントベッド等も70%以上の下落となっている。これらの銘柄は一昨年日本株が大幅上昇するなかで何倍にも買われた銘柄である。多くの成長株ファンドマネージャーがポートフォリオの中核として組み入れていた銘柄であり、これらの銘柄の上昇により多くの成長株ファンドが非常に高い運用成績あげることができた。また、このような株式市場の高パフォーマンスによって個人マネーが大量に株式市場に流入し、1000億円以上の株式投信が次々と設定されるようなバブル時代以来の活況となった。

ところが昨年は春先からそのような状況が一転してしまった。IT関連企業の先行きに対しての警戒感の台頭、生命保険会社や大手流通企業の破綻、景気の腰折れ懸念といったファンダメンタルズの悪化、金融機関、事業法人からの高水準の持ち合い解消の株式売却が続く一方で個人投資家や外人投資家の投資の減退、世界経済を牽引してきた米国の株式市場が軟調に推移したこと等様々なマイナス要因から株価は大幅下落となってしまった。

さて、今年の株式市場はどうなるであろうか。年初の日経新聞に掲載される経営者や金融関係者の予測では日経平均株価で13,000円〜18,000円、年初に底をつけて年末は高くなるといったところが大方のコンセンサスである。個人的には株式市場全体の上昇はそれほど期待できないと思っている。それは、引き続き金融機関や事業会社は保有株式の売却方向に動いておりその動きは今年も続くことが予想されること、また個人投資家も昨年のネットバブルの崩壊で大きな痛手を負っており株式市場への回帰は考えにくいことから需給関係は決して良くないと考えるからである。従って今年は森より木を見る相場になると考える。その際の注目点は引き続き会計制度のグローバル化に対応して、事業の再編を行い株式価値を上げる経営ができるかどうかであると思う。

今3月期は、企業は連結会計、キャッシュフロー会計、時価会計、退職給付会計といった国際的な会計基準に則った開示が求められることになる。連結決算により子会社を含めた経営成績が明確に財務諸表に反映され、保有株式の時価評価により含み益を使った益出しはできなくなり、退職給付というこれまで負債として認識していなかった債務も認識することになる。負の遺産が一気に表面化することになり、企業はその解消に迫られることになる。

また、今年から会社分割法が施行されることで、事業毎に会社を分割することが容易になり、事業再編が行いやすくなる。これは世界的な競争時代の中で中核事業への資源の集中投下と非中核部門の切り離しが必要不可欠になっている時代の要請に応えるものであり、企業の非中核部門の分社化、他企業と共同持株会社を設立してその下で部門毎の統合を行って効率化を進めるような動きが期待される。また、経営上非効率と考えられる部門を売却し、経営上効率性を高めるような中核部門を買収するM&Aが国内外を問わず盛んになることが予想される。

今年は、このような時流に的確に対応して競争に勝ち残っていける企業かどうかがその企業の株価を大きく左右すると思われる。特に国内に積極的に買う投資家がいないなかでグローバルスタンダードで見て投資価値がある銘柄は今年も注目すべきであろう。特に昨年の下落で、高成長銘柄を割安な水準で投資できるチャンスが増えており、銘柄選択を間違わなければ長期的に高いパフォーマンスが得られる可能性がある。今年こそファンドマネージャーの力量が問われるのではなかろうか。


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