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金のアカデミズムの現場から 第三回 「政治学と国際経営」
stern2000-10-12 (3090)

金 雅美(キム アミ)
明治大学博士課程95年入学 現在:博士論文執筆中&明治大学経営学部非常勤講師

第三回 「政治学と国際経営」


政治学の一般的な概念

政治学の基本的本質を示す一般的な概念は基本的に3つ存在する。これら3つの概念は相互関係から成り立っており、関連現象においてはその異なる面が強調される。

第1に、社会での価値分配のプロセスとして政治を概念化することである。価値とは政治システムの中で形成され、共有される人間の嗜好である。そのため、政治の特徴は価値分配のための努力となりうる。この考え方では、政治は社会的プロセスであり、政治は社会において「誰が何を、いつ、どうやって手に入れるか」を決定する重要な役割を担うことになる。

第2に、人間関係で行使される権力に絞り込んだ政治の考え方である。ある行為者が誰かに何かをさせようとする。その誰かは行為者にしむけられないと、行動を起こさないであろう。これは利益と行動の衝突を強調している。脅迫、制裁、約束、報酬すべてがこの関係における中核的な要素である。この考え方では、政治は戦略的プロセスであり、政治は権力関係における戦略的行為者であると言える。

第3は、結集した意思決定の側面に焦点を当てた考え方である。政治的プロセスとは社会が目的追求のために、結集した行動を企てようとする機能である。この考え方では、政治は公的な問題解決のプロセスであり政府はゴールを目指す行為者となりうる。

これら3つのの考え方の中核を成しているのが「権力」というコンセプトである。政治学においてこの「権力」のあり方を理解することは、政治学と国際経営との学問的な接点を探索する上での基本的な前提条件となる。それでは、これらの政治学の基本的な概念を押さえた後で、国際経営と政治との接点をより明確にとらえてみよう。


国際経営と政治

国際経営は、政治学の視点から、2つ以上の国家、領域、植民地の人間や機関に影響を及ぼす、政治的かつ民間的なビジネス活動であると定義することができる。国際経営の研究領域には国境の介入が存在するため、より政治や政府のあり方と密接な関係にあると言える。それは国際経営のユニークさであり、同時に、政治・経済・法的環境までも扱った極めて学際的な研究分野であるということでもある。
国際経営には、政治・政府の問題が常につきまとう。国際経営の研究領域では、政治と国家が果たす役割を次のような3段階に分類することが可能であろう。

第1は、企業と国家の間における相互作用である。貿易や海外投資、多国籍企業の役割などがこれに含まれる。ビジネスを行う相手国の政治政策、国民性、法的規制などをよく理解しておくことが望まれる。また、親会社と子会社間の関係を考える場合でも、子会社の置かれている政治的環境に留意し、十分な理解を持っていることが前提となる。

第2は、戦略的マネージメントと政治・政府との関係である。企業戦略を行う際に考慮しなくてはならない点である。多国籍企業の戦略的マネージメントを行う場合、相手国の政治政策やその変化に対してある程度の予測や信憑性の高い情報を確保する必要が高い。政府の管理力や政策の有効性の多国籍企業に与えるインパクトなどは、政府と企業間における支配・非支配の関係という権力闘争にも発展することが多い。

第3は、国際政治経済である。国家の政治と経済との関係性が、国際経営に対して影響を及ぼしている。政治政策が変われば当然、経済に影響を及ぼし、必然と国際経営に対する影響力も変わってくる。国際政治経済と国際経営は重複する研究領域を多く持っていると言える。

国際経営の基本的な前提として、政治・経済・法的環境は変化するということである。国家という考え方は規定の事実であり、政治・経済・法的環境を考慮する上でのある1種のパラメーターでしかない。政治的権威は、領域的に定められたウェストファリア条約(1684年)によって制定されたと仮説されている。従って、通常、政治・政府とは国家による支配力の程度のことであり、その基本は国境を中心とした国家という概念なしでは存在し得ないコンセプトでもある。
国際経営で政府・政治を取り扱う場合、政治政策に焦点を合わせている。政治政策が国際経営にどのように影響を及ぼすのかという問題は、企業・国家間の相互作用、戦略的マネージメント、国際政治経済という3層から考えることが可能である。

Merry Merry Christmas to Everyone.   Ahmi Kim


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