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金のアカデミズムの現場から 第二回 「国際経営の学問的領域(政治学との接点)」
stern2000-09-12 (3095)

金 雅美(キム アミ)
明治大学博士課程95年入学 現在:博士論文執筆中&明治大学経営学部非常勤講師

第二回 「国際経営の学問的領域(政治学との接点)」


今回は第2回目の投稿ということになりますが、今回は、国際ビジネスの定義に関して述べてみたいと思います。

ロビンソン(Robinson)は国際ビジネス(以下IB)を「2つ以上の国家、領域、植民地の人間や機関に影響を及ぼす、政治的かつ民間的なビジネス活動」と定義している。国境の介入があるからこそ、IBの研究が必要となる。IB研究の分野に独自性(uniqueness) を求めれば、結局、経済的、文化的、政治的に異なる多くの国家に存在する多国籍企業の足並みそろった活動が要求される。

IB研究には、政治・政府的問題が常につきまとう。なかでもバーマン(Bahrman) 、フェアーーウェザー(Fayeerweather) 、ヴァーノン(Vernon)らは、この分野の研究が始まる早い時期から国民国家と国民性に直接取り組んできた。過剰簡略化になりそうではあるが、IB研究では政治と国家が果たす役割を三層に分類することができる。

1. 企業・国家間の相互作用。これには、政治的危機研究、交渉の労の多く、収用権行使と「国民性(nationalism)」の分析、海外投資と開発途上の多国籍企業の役割についての十分な話し合いが含まれる。
2. 戦略マネージメント。この点は企業・国家間の相互関係に重複するところ、(例えば、交渉)もあるが、政府について考えることが、企業戦略や業界構造の大部分でおこなわれる。
3. 国際政治経済。IBの学者達は、国際政治システムを国家中心的見解で、超国家的存在としての、多国籍企業(MNEs)のインパクトを語ってきた。つまり、政治学における自由現実主義(liberal-realist)の主張である。

いくつか重要な例外はあるにしても、この3つのケースにおいて、IB研究は政策という点から政治を取り扱う。つまり、政府の管理と司法上の問題だ。10人が 10人否認しそうではあるが、政治的危機の研究課題は政府が企業に課すであろう政策による圧迫の予測とマネージメントだ。戦略マネージメント研究で強調されるのは、世界的な統合へのプレッシャーと、ドーズ(Doz) の言う政治的命令、「受け入れ政府の要求で必要となる調整」の間に生じる交換条件である。
 政治の中の政治をより中心的に取り上げるバーマンやヴァーノンといった研究者さえ、政府の管理力と政策の有効性の減少を第一に取り上げている。2人の主題は治外法権、つまり受け入れ政府の政策の有効性における、他国にある親会社からの子会社への直接支配力の影響だ。支配力の重複という問題〔ヴァーノン (Vernon )〕である。
 政治とIB研究の統一に焦点をあてる研究者が何人かいる。例えば、「市場の不完全性もまた、政治的姿勢を通じて立法化されるかもしれない」というボッドウィン(Boddewyn) は、ダニング(Dunning) の折衷主義的パラダイムには政治も含まれるはずであると唱えている。レンウェイ(Lenway)とマーサ(Murtha)のIB研究における調査コンセプトは、「そのような組織(国家)の特質や要素に関する理論は、組み立て、予測し、国の経済戦略や政治、遂行能力を説明するための、強力な道具をもたらす」と結論している。両者の論文の視点はいずれも比較的広範囲だが、その焦点はあきらかに組織としての国家にあると言える。つまり、資源への欲求や政府の政策と支配力の有効性にあるのだ。
 IB研究の根本的な教義は、政治的環境は変化するということだ。だが、国家という考え方は既定の事実であり、パラメーターである。政治的権威は、領域的に定められた独立国家のウェストファリア条約によって組み立てられると仮定されている。2、3の例外もあるが、独立国は普通、概念的ではなくむしろ国家による支配力の程度によって論じられる。研究の中に、領域的に組織され、定められた国内市場が、国際経済システムにおいて基本的な単位となるという一致した仮定がある。
 戦略的マネージメント研究の焦点は、多国籍企業が世界的に統一されるために直面する経済的、技術的プレッシャーと、戦略の細分化や国々の違いに対応するための政治的(そして社会的)プレッシャーに置かれる。私は、経済と政治、国内市場と現代的独立国家の領域的機構のコンセプトで、世界的な統一を達成するためにかかる経済的、技術的プレッシャーの影響を探るため、統一化・細分化トレードオフのこのコンセプトを覆したいと思う。超国家的な統合により増すプレッシャーは、経済的、政治的機構が編成される主たる現存様式の実施可能性に、疑問を投げかける。要するに、政治はIB理論に不可欠であり、その研究の根底にある政治と政府についての暗黙の仮定がもはや有効ではないのかもしれない。

今回は政治と国際経営における接点を探っての議論を展開してみました。国際経営学と政治、経済、カントリーリスクという課題について現在考察中です。時代とともに、国際経営学の定義も同時に進化していくのでしょう。より多角的な視点からの定義が求められているようです。今回は少々難解な問題をとりあげてみましたが、興味がない方には申し訳ないです。
それでは、Happy Holidays! Ahmi Kim


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